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ABA

応用行動分析

Applied Behavior Analysis

ABAとは
行動の「直前」と「直後」の状況を観察して行動を変える、科学的な行動アプローチ法

 ABAは、正式には「応用行動分析(Applied Behavior Analysis)」と言います。これは、行動は環境との相互作用があって生じるという1930年代米国、B.F.スキナー博士によって確立された「行動分析学」の研究を応用するもので、現在、社会の様々な問題の解決に役立てられています。

スキナー博士は、行動を「科学的な」研究対象としました。つまり、行動が起こったときに、当人の性格や、周囲の主観やバイアスなどを取り除き、ただ「行動」と「環境」―行動の前(事前)に事実として何があったか、そして行動の後(結果)に事実として何が生じたか―を、客観的に、誰もが同じ事実を共有できる形で表現し、データ化し、科学として行動を研究したのです。この科学的な視点こそが、ABAにおける行動介入が大きな効果をもたらした、重要なカギとなっています。

スキナー博士は、研究での気づきから、“行動の変化の本当の原因は、行動の前の出来事ではなく、むしろ行動の後に起こる出来事にある”として、ヒトを含む動物全般に当てはまる「行動の基本原理」を発見しました。それが、以下、「強化」「消去」「弱化(罰)」です。

▮強化 行動の直後に、その人にとってほめ言葉などの好ましい刺激があると、以後その行動は増加(あるいは維持)する。この現象を「強化」(「正の強化」)といい、好ましい刺激を「強化子」という。

▮消去 行動の直後に好ましい刺激が与えられなくなると、その行動は減少する。これを「消去」という。

▮弱化・罰 行動の直後に、叱られるなど、その人にとって不快な刺激があると、以後その行動は減少する。これを「弱化/罰」という。

人の行動に介入するときには、この原理に基づき、行動の結果を操作することで、望ましい行動を維持・増加させたり、困った行動を減らしたり、なくしたりできることが証明されています。また直前(事前)の環境を操作することでも、行動を変容させる効果をもたらすことが分かっており、介入の際には結果と合わせて操作されることが多いです。

このように、科学的に人の行動に確実にアプローチできるABA(応用行動分析学)は、1960年代以降、自閉症児などの発達障害児への療育における研究で大きな成果をあげて急速に広がりました。特に自閉症早期療育の分野では米UCLAの故イヴァ・ロバース博士などによって早くから研究が積み重ねられ、幼児期から集中的にABA個別療育を施すことで、IQの顕著な上昇など、高い改善効果が認められることが科学的に実証されています。その結果、自閉症治療に関しては、効果について科学的なエビデンスのあるほとんど唯一の方法として、米国やカナダで、公費や医療保険の対象となっています。

ドラムで遊ぶ子供
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